配信日 | 雑誌名 | 号 |
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2023/05/09 | 週刊朝日 | 2023年5月19日号 |
芽むしり仔撃ち (新潮文庫)
ISBN: 4101126038
発売日: 1997/8/1
出版社: 新潮社
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処女作『奇妙な仕事』で注目された著者が、最初の長編として発表した傑作。
大戦末期、山中に集団疎開した感化院の少年たちは、疾病の流行とともに、谷間にかかる唯一の交通路を遮断され、山村に閉じ込められる。この強制された監禁状況下で、社会的疎外者たちは、けなげにも愛と連帯の“自由の王国"を建設しようと、緊張と友情に満ちたヒューマンなドラマを展開するが、村人の帰村によってもろくも潰え去る。
綿密な設定と新鮮なイメージで描かれた傑作。
目次
第一章 到着
第二章 最初の小さな作業
第三章 襲いかかる疫病と村人の退去
第四章 閉鎖
第五章 見棄てられた者の協力
第六章 愛
第七章 猟と雪のなかの祭り
第八章 不意の発病と恐慌
第九章 村人の復帰と兵士の殺害
第十章 審判と追放
解説:平野謙
大江健三郎
1935(昭和10)年、愛媛県生れ。東京大学文学部仏文科卒業。在学中に「奇妙な仕事」で注目され、1958年「飼育」で芥川賞を受賞。1994(平成6)年ノーベル文学賞受賞。主な作品に『個人的な体験』『万延元年のフットボール』『洪水はわが魂に及び』『懐かしい年への手紙』『「燃えあがる緑の木」三部作』『「おかしな二人組(スゥード・カップル)」三部作』『水死』『晩年様式集(イン・レイト・スタイル)』などがある。