配信日 雑誌名
2023/05/18 週刊文春 2023年5月25日号
2023/06/12 週刊東洋経済 2023年6月17日号

眠りつづける少女たち――脳神経科医は〈謎の病〉を調査する旅に出た

ISBN: 4314011971

発売日: 2023/4/28

出版社: 紀伊國屋書店

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オリヴァー・サックスの後継者として注目される脳神経科医が、

世界各地で出会った奇妙な心因性疾患の背後に見たものとは――

2021年《英国王立協会科学図書賞》最終候補作



世界は一様ではなく、西洋医学は万能ではない。

何が病気で、何が正常か、誰が定義できるのか?



◎スウェーデンの難民家庭の少女たちに広まった「あきらめ症候群」(第1章、第4章)

◎ニカラグアに現存する幻視や憑依を主症状とする「グリシシクニス」(第2章)

◎カザフスタンの鉱山町で発生した「眠り病」(第3章)

◎キューバ駐在のアメリカとカナダの外交官らが罹患した「ハバナ症候群」(第5章)

◎コロンビアの女子学生たちに集団発生した「解離性発作」(第6章)

◎アメリカ北東部の地方都市ル・ロイと南米のガイアナで発生した「集団心因性疾患」(第7章)

◎ロンドンの病院で著者が担当した患者の「解離性発作」(第8章)





【目次】

序 謎の病



第1章 眠りつづける少女たち

あきらめ症候群/ヤズィーディー/仮病疑惑



第2章 グリシシクニス

悪魔が来りて/テキサスのミスキートたち/人類学者マッダと会う/社会による脳の発達への影響/内面から浄めていく夢のようなもの



第3章 失楽園

パーティーはまだ半ばのこと/ある医師の見解/リューボフの見た天国/脳の予測エラー/世界の終わり



第4章 身体を支配する心

モン族と死/心から身体へ、身体から心へ/感覚刺激のフィルタリング



第5章 縞馬ではなく馬だと思え

蹄の音が聞こえてきたら/イアン・ハッキングはかく語りき/キューバ危機とハバナ症候群



第6章 信用の問題

HPVワクチン/ジュリエットの場合/エル・サラドの虐殺/ヒステリーとは何か/エリカとの対話/反ワクチン派とジャーナリスト/子どもたちを救え



第7章 ル・ロイの魔女たち

エリン・ブロコビッチの介入/ガイアナの精霊グラニー/集団ヒステリーと女性蔑視/集団ヒステリーとメディア/地域の慣習と〈病気〉/魔女はいない



第8章 正常な行動

シエナの場合/疾患の診断基準/ロボトミー手術/ADHD大国アメリカ



エピローグ





【著者】スザンヌ・オサリバン(Suzanne O’Sullivan)

アイルランド出身の神経科医。ダブリン大学トリニティ・カレッジで医学を修め、現在はロンドンの国立神経・脳神経外科学病院に臨床神経生理学・神経学の医療コンサルタントとして勤める。てんかんを専門とし、心因性疾患を研究している。2015年に刊行した最初の著書 It's All in Your Head は、英国でウェルカム・ブック・プライズと英国王立協会生物学図書賞を受賞。本書は、2018年に刊行され各紙誌で絶賛された Brainstorm に続く3冊目であり、2021年の王立協会科学図書賞の最終候補作に選ばれている。



【訳者】高橋 洋(たかはし・ひろし)

翻訳家。訳書に、バレット『情動はこうしてつくられる』、メイヤー『腸と脳』、ドイジ『脳はいかに治癒をもたらすか』、ハイト『社会はなぜ左と右にわかれるのか』(以上、紀伊國屋書店)、グリンカー『誰も正常ではない』(みすず書房)、メルシエ『人は簡単には騙されない』(青土社)、ダマシオ『進化の意外な順序』、ブルーム『反共感論』(以上、白揚社)ほか多数。