配信日 | 雑誌名 | 号 |
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2023/05/25 | 週刊文春 | 2023年6月1日号 |
2023/06/09 | クロワッサン | 2023年6月25日号 |
2023/07/07 | Precious | 2023年8月号 |
棕櫚を燃やす (単行本)
ISBN: 4480805117
発売日: 2023/3/20
出版社: 筑摩書房
Amazonランク: 0
第38回太宰治賞受賞&第36回三島由紀夫賞候補作
「聖なる家族と呼ぶべき一家の物語」――荒川洋治(現代詩作家)
父のからだに、なにかが棲んでいる――。
三十四歳の春野と、五歳年下の妹・澄香と父は、東京の庭付き一軒家に三人で暮らしている。姉妹は家を出たいとも思わず、職を転々としながら、三人で心地よい世界を築いてきた。そんな折、父に残された時間が一年だと知る……。玄関に脱ぎ捨てられた父の靴下、明け方のドライブ、三人で囲むすき焼き鍋。残された家族の日々は、静かで温かく、そして危うい。
喪失へと向かう家族を描く第38回太宰治賞受賞作と、書き下ろし「らくだの掌」を収録。
「築いても築いても、壊してばかりの私がそうやって壊すことができるのは、戻る場所があったからで、それは父だった。湖のような目をした、さもありなんの父がいつも在る。だのに、父は湖の目をどこかに失くし、冷たい音を発している。面倒だから、悲しいだけにさせてよ、そう思う。」(本文より)