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2023/06/08 週刊新潮 2023年6月15日号

新解さんの謎 (文春文庫)

ISBN: 4167225026

発売日: 1999/4/9

出版社: 文藝春秋

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辞書の中から立ち現われた謎の男。魚が好きで苦労人、女に厳しく、金はない―。「新解さん」とは、はたして何者か?三省堂「新明解国語辞典」の不思議な世界に踏み込んで、抱腹絶倒。でもちょっと真面目な言葉のジャングル探検記。紙をめぐる高邁深遠かつ不要不急の考察「紙がみの消息」を併録。たとえば──[ばか]人をののしる時に最も普通に使うが、公の席で使うと刺激が強過ぎることが有る。[実社会]複雑で、虚偽と欺瞞とが充満し、毎日が試練の連続であると言える、きびしい社会を指す。[凡人]マイホーム主義から脱することのできない大多数の庶民の意にも用いられる。ぼくはまだ新解さんという人物に会ったことはないのだけど、間接的に、おぼろげに、空気を介してその人物に接している。いちど仲介者を通して会見を申し込んだこともあるのだけど、「まぁ会わない方がええでしょう」というご返事をいただいたそうで、いかにも新解さんらしいなと思った。お会いしてもどういう会話をしたものか、見当もつかなかっただけに、やんわりお断りされてホッとしたことも事実である。(あとがきより)