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2023/06/12 週刊エコノミスト 2023年6月20日号

東京大学の式辞 (新潮新書)

ISBN: 4106109883

発売日: 2023/3/17

出版社: 新潮社

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東大は何を語ってきたのか――

明治十年の創立から東京大学は常に学問の中心としてあり続けた。大震災、戦争、大学紛争、国際化――その歩みはまさに日本の近現代史と重なり合う。 時代の荒波の中で、歴代の総長たちが語った「言葉」とは。 南原繁から矢内原忠雄、蓮實重彦まで、知の巨人たちが贈る、未来を生きる若者たちへの祝福と教訓!



(目次)



はじめに



第1章 富強の思想、愛国の言葉(1877‐1938)

明治維新後、ほどなく創設された東京大学。国力を高め、欧米列強に伍するために学問が果たすべき使命とは――日清・日露をはじめ「戦争の時代」を目前に語られたこと。



第2章 戦争の荒波に揉まれて(1938‐1945)  

一身を君国に捧ぐるの覚悟を――皇国史観に揺れる学問の府と、命を散らす学徒。日中戦争勃発から太平洋戦争、そして敗戦まで。色濃く映し出された、あの時代の空気とは。



第3章 国家主義から民主主義へ(1945‐1951)

新憲法がもたらした戦後民主主義。女子学生の入学、新制大学への移行など大学のあり方が一新される一方で、講和をめぐり南原総長の理想と政治権力という現実が衝突する。



第4章 平和と自由のために尽くす人となれ(1951‐1957)

講和によって日本は自主独立を取り戻し、大学は「国策大学」から「国立大学」へと姿をあらためる。平和主義、学問の自由、そして大学の自治を問い直す矢内原総長の信念。



第5章 肥った豚よりも痩せたソクラテス?(1957‐1968)

東大籠城事件やデモ隊の国会突入など六〇年安保闘争の騒乱の中、大学教育の真価が問われる。長く語り伝えられてきた大河内総長の「名式辞」の真実とは。



第6章 ノブレス・オブリージュ、国際人、多様性(1969‐1985)

「高き身分の者に伴う義務」を負い、「よくできる人」より「よくできた人」に――学生紛争が終わり、大学自体が大衆化していく転換期、求められる人材像にも変化が起きる。



第7章 あらゆる学問分野の連携を(1985‐1993)

バブルの狂躁、冷戦終結など国内外とも情勢は大きく変わる。気候変動をはじめ人類規模の問題と学問はどう向き合うか。突っ込みどころ満載の言葉から次代への正論まで。



第8章 未来へ伝達すべきもの(1993‐2001)

東大の式辞は、矛盾と葛藤に満ちた日本の近現代史と見事に重なりあう。阪神・淡路大震災を経て、二十世紀の終わりに二人の総長が贈った未来への「祝福」とは――。



補 章 いま君たちはどう生きるか(来賓の祝辞から)

独創力、人間力、想像力、ノブレス……安藤忠雄、ロバート・キャンベル、上野千鶴子ら近年話題になった三氏の祝辞が示した、若者たちへの熱いメッセージ。



おわりに