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2023/06/27 週刊現代 2023年7月1日号

世界を変えた12の時計 : 時間と人間の1万年史

ISBN: 4309228445

発売日: 2022/02/25

出版社: 河出書房新社

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日時計と古代ローマ、からくり時計とイスラーム、時計職人と産業革命、原子時計と21世紀の戦争……つねに歴史の転換点だった

「時を計る」という最も身近な営みを通して、文明の核心に迫る!



「ごく初期の文明以来、あらゆる文化の人びとが時計をつくり、使ってきた。古代ローマの都市の日時計から中国の元朝などの水時計まで、また中世に静かな革命を醸成した砂時計から啓蒙時代にインドでつくられた天文台まで、時計の歴史は文明の歴史なのである。」(本文より)





「12の時計」をはじめ、さまざまな時計が登場

フォルム・ロマヌムの日時計

アテネの「風の塔」

元朝の水時計

英領インドの時計台

アル=ジャザリーの「城時計」

プラハの天文時計

メッカ・ロイヤル・クロック・タワー

壁画《善政の寓意》の砂時計

アムステルダム証券取引所の時計

ジャイプル藩王国の「至高の機器」

喜望峰の報時球

ジョン・ハリソンの航海用クロノメーター

グリニッジ天文台の時計

イギリスの電話時報サービス

ビッグベン

GPS衛星の原子時計

1970年大阪万博のプルトニウム時計

スマートウォッチ

世界終末時計

ロング・ナウ協会の1万年時計 ……





[原題]About Time: A History of Civilization in Twelve Clocks





【目次】



序文 一九八三年、大韓航空007便



第1章 秩序:紀元前二六三年、フォルム・ロマヌムの日時計

ローマを支配した日時計

時刻を告げる高い塔

公共の時間がもたらす秩序

都市再生のシンボル

時計台の権力

植民地を見渡す時計台

ローマから北京まで



第2章 信仰:一二〇六年、ディヤールバクルの城時計

壮大な自動装置の水時計

宗教における時間

機械式時計は宇宙を再現する

ヨーロッパの都市の天文時計

「時は金なり」が依拠するもの

聖地に立つ世界最大の時計台



第3章 美徳:一三三八年、シエナ、抑制を表わす砂時計

砂時計というシンボル

中世の「抑制」の美徳

砂時計の新たな役割

砂時計を携えた骸骨たち

死の空虚さ



第4章 市場:一六一一年、アムステルダム、証券取引所の時計

近代資本主義の誕生を知らせる鐘の音

取引所の時計と仲介業者

市場と時計のネットワーク

金融市場のタイムスタンプ

正確さが指数関数的に増していく

超正確かつ超精密な時間を供給する



第5章 知識:一七三二-三五年、ジャイプル、サムラート・ヤントラ

国際的な天文学ネットワークへの野心

知識は力である

宇宙時代もつづく天文学の政治

グリニッジ天文台はなぜ有名か



第6章 帝国:一八三三年、ケープタウン、天文台の報時球

大英帝国と喜望峰

時報とクロノメーターが帝国を動かす

海上での測位問題

正確な時刻をいかに伝えるか

「帝国の中心」の世界時計

いまだに残る帝国の影



第7章 製造:一八六五年、ロンドン、ゴグとマゴグ

ある時計店の寓意

ヴィクトリア朝時代の時計職人

時計職人が製造業を変えた

一九世紀の変化と抵抗

大量生産とマーケティングの時代へ

イギリスの時計産業の失敗

ウォッチメーカーとカーメーカー



第8章 道徳:一九〇三-〇六年、ブルノ、電気時計設備

電車、電気照明、電気時計

電気こそが近代性である

時間はいかに標準化されたか

パブはなぜ正しい時間を求めたか

パブの時間、工場の時間

道徳的な管理の手段

夏時間と相対性理論



第9章 抵抗:一九一三年、エディンバラ、望遠鏡駆動の時計

エディンバラの爆破事件

時計という暴君

産業界の時間規律

グリニッジの爆破事件

インドでの標準時をめぐる論争



第10章 アイデンティティ:一九三五年、ロンドン、黄金の電話機

「黄金の声」選考会

声か容姿か

「話す時計」のアイデンティティ

時計とは何か

アメリカの大歴史時計

標準時とナショナル・アイデンティティ

ダブル・ブリティッシュ・サマータイム

ブレグジットとビッグベン



第11章 戦争:一九七二年、ミュンヘン、ミニチュアの原子時計

宇宙に行った原子時計

GPS衛星の打ち上げ

時計も軍事兵器である

二一世紀の戦争

戦争に組み込まれたGPS

衛星時計に依存した世界



第12章 平和:六九七〇年、大阪、プルトニウム時計

一九七〇年大阪万博のタイムカプセル

平和をもたらすための時計

一万年の時を刻む

遂行と恒久

時計を自分のために使うべき時





謝辞

訳者あとがき

クレジット

参考文献

原註

索引