配信日 雑誌名
2023/07/13 週刊新潮 2023年7月20日号

ふるさとに風が吹く 福島からの発信と地域ブランディングの明日

ISBN: 4022518960

発売日: 2023/5/8

出版社: 朝日新聞出版

Amazonランク: 0

クリエイティブでふるさとの課題を解決できるか?

明日をつくる地域ブランドとは?

「ふくしま」の発信に力を注いだ15年の濃密なドキュメント。



タワーレコード「NO MUSIC, NO LIFE.」、

リクルート「ゼクシィ」など、

数々の話題の広告キャンペーンを手がけるかたわら、

フリーペーパー「月刊 風とロック」の発行、

テレビ・ラジオ番組のMCなど、多方面で活躍する

クリエイティブディレクター・箭内道彦。



2000年代後半より、故郷福島での音楽イベント開催をはじめ、

自身のふるさとを勇気づけるさまざまなプロジェクトに

携わってきた箭内は、東日本大震災を受け、支援活動に向き合ってきた。



2015年には、福島県のクリエイティブディレクターに就任。

現在にいたるまで官と民の垣根を超えて、

地域の魅力を発信するさまざまな行政キャンペーンを監修するほか、

個人のプロジェクトも継続している。



本書では、箭内自身が15年に及ぶ自身の活動を紹介しながら、

それぞれの取り組みに対する思いや意図などを執筆。

一方、広告ジャーナリストの河尻亨一が、

現福島県知事の内堀雅雄はじめ、関係者・制作チームへの取材を重ね、

「ふくしま」の情報発信の手法や戦略を読み解いた上で、

全国各地に展開可能な「地域ブランディング」のあり方を模索する。



福島の食の魅力と生産者の声を伝える「ふくしまプライド。」キャンペーン、

県内の自治体を横につないだ観光ポスター「来て。」シリーズ、

県の総合情報誌の内容が親しみやすいキャラクターとともに

八つ折りスタイルになった「ふくしままっぷ」、

日本一のブランド米を目指す「福、笑い」の誕生秘話、

ユニークな動画シリーズ「ふくしま知らなかった大使」、

そして福島県の新しいスローガン「ひとつ、ひとつ 実現するふくしま」などーー



数々の取り組みの制作エピソードからは、

地域発信はもちろん、これからの企業ブランディングを

考える上でのヒントを読み取ることもできるだろう。



二人の著者の文章をリレースタイルで往復させながら、

プロジェクトの意義を浮き彫りにしようとした“異色の共著本”は 読みごたえたっぷり。



行政関連の発信(広報・PR)に携わる方から、

マーケティング・ブランディング業務に関わる方、

地域振興のプロジェクトを手がける方まで、

「未来志向のブランドづくり」に関心のあるすべての人にご一読いただきたい1冊です。



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課題は逆風のようなもの。

クリエイティブには、その風向きを変える力が少なからずあるはずだと、

僕は思っています。



皆の言葉が風のように行き交い、

交差する場所に、未来への鍵が隠されているかもしれません。

(箭内道彦「まえがき」より)

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【目次】

まえがき

あなたの思う福島はどんな福島ですか?

207万人の天才。

風とロックとふるさと

ふくしまプライド。

来て。

ベコ太郎がゆく

福、笑い

県広報課チームは見た

知らなかったMIRAIへ

ひとつ、ひとつ、実現する ふくしま

クリエイターズ道場「誇心館」

あとがき



【プロフィール】

箭内 道彦(やない・みちひこ)

1964 年福島県郡山市生まれ。クリエイティブディレクター。東京藝術大学美術学部卒業。博報堂を経て2003 年「風とロック」を設立。タワーレコード「NO MUSIC, NO LIFE.」など、数々の話題の広告キャンペーンを手がけながら、フリーペーパー「月刊 風とロック」の発行、NHK「トップランナー」のMC、震災前から続ける故郷福島での音楽イベントの開催ほか、既成の枠に捉われないその活動は多岐にわたる。2015 年より福島県クリエイティブディレクター。ロックバンド「猪苗代湖ズ」ギタリスト、母校 東京藝大の教授でもある。本書の印税全額を福島県に寄付する。



河尻 亨一(かわじり・こういち)

1974 年大阪市生まれ。編集者・作家。早稲田大学政治経済学部卒業。雑誌「広告批評」を経て、現在はクリエイティブとジャーナリズムをつなぐ様々な活動を展開。カンヌ国際クリエイティビティフェスティバルを取材するなど、海外動向にも詳しい。翻訳書に『CREATIVE SUPERPOWERS』。評伝『TIMELESS 石岡瑛子とその時代』で第75回毎日出版文化賞受賞〈文学・芸術部門〉。