配信日 雑誌名
2023/08/21 週刊東洋経済 2023年8月26日号

現代ドイツ政治外交史:占領期からメルケル政権まで (Minerva Modern History)

ISBN: 4623094863

発売日: 2023/6/16

出版社: ミネルヴァ書房

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ナチの全体主義と第二次世界大戦の敗戦を経て、戦後ドイツは、冷戦のなか分断国家として再出発した。そしていまや東西統一を果たし、ヨーロッパの中心的な存在となっている。いかにしてドイツは、経済復興や再軍備、ヨーロッパ統合、戦争責任や賠償、さらには社会保障や環境保護などの課題に取り組んだのか。本書は、歴代首相のリーダーシップ、そして政党政治の展開を軸にして、戦後ドイツ政治の70年の歩みを描き出す。

【目次】

略語表

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序 章 戦後ドイツの政治外交を学ぶ――歴史的背景と政治制度(板橋拓己)

 1 戦後ドイツ政治を学ぶ意義

 2 歴史的背景――占領から分断へ

 3 連邦共和国の政治制度





 第Ⅰ部 東西ドイツの政治外交史



第1章 西側結合と社会国家の建設――アデナウアー政権、1949~1963年(芦部 彰)

 1 ケルンのカトリック

 2 アデナウアー政権の成立と「宰相民主主義」

 3 西側統合と主権回復

 4 対ソ外交と単独代表権

 5 戦後復興と「経済の奇跡」

 6 社会国家の建設

 7 アデナウアー政権の終焉



コラム1 オルド自由主義(芦部 彰) 



第2章 変動と転換の時代――エアハルト政権とキージンガー政権(井関正久)

 1 エアハルト政権(1963~1966年)

 2 キージンガー政権(1966~1969年)



コラム2 「68年運動」(井関正久)



第3章 東西緊張緩和への貢献と「もっとデモクラシーを」――ブラント政権、1969~1974年(妹尾哲志)

 1 亡命、帰国、そして西ベルリン市長から副首相兼外相へ

 2 ブラント政権の成立と東方政策の推移

 3 「もっとデモクラシーを」――「改革の陶酔感」とその挫折

 4 第二次ブラント政権期の停滞とスパイ事件による首相辞任



コラム3 国境問題と「被追放民」(妹尾哲志)



第4章 「継続と集中」と危機管理の時代――シュミット政権、1974~1982年(妹尾哲志)

 1 「やり手(Macher)」シュミットの政治的出自

 2 シュミット政権の成立と「継続と集中」

 3 テロリズムと国内政治の変容――「ドイツの秋」、福祉拡充政策の転換、「新しい社会運動」

 4 「現実的緊張緩和政策」のジレンマと欧州統合再活性化への試み

 5 NATOの「二重決定」と反核運動の盛り上がり

 6 SPD党内の分裂、連立政権内の対立激化から建設的不信任案へ



コラム4 労使関係(近藤正基)



第5章 ボン共和国の成熟と迅速な統一――コール政権⑴、1982~1990年(板橋拓己)

 1 コールという人物

 2 内 政

 3 外 交

 4 ヨーロッパ政策

 5 ドイツ統一



コラム5 中国との関係(板橋拓己)



第6章 もう一つのドイツの軌跡――ドイツ民主共和国(東ドイツ)、占領期~1990年(河合信晴)

 1 東ドイツの政治外交システム

 2 ドイツの分断――占領期(1945~1949年) 

 3 社会主義の建設と冷戦(1950~1961年)

 4 経済改革への志向(1961~1970年)

 5 「後見的社会国家」体制の確立(1971~1976年)

 6 体制危機と反対派の登場(1976~1988年)

 7 体制崩壊から統一へ(1988~1990年)

 8 東ドイツ消滅後の東側地域



コラム6 東ドイツの「68年世代」(河合信晴)





 第Ⅱ部 統一ドイツの政治外交史



第7章 「ボン共和国」から「ベルリン共和国」へ――コール政権⑵、1990~1998年(葛谷 彩)

 1 「統一の代償」としての旧東ドイツ統合問題

 2 改革の停滞と合意政治の衰退

 3 「ヨーロッパのドイツ」を目指して

 4 変容する外交・安全保障政策――領域防衛から危機管理へ

 5 「過去の克服」



コラム7 「普通の国」論争(葛谷 彩)



第8章 統一ドイツの経済的・軍事的「離陸」と福祉国家の縮減――シュレーダー政権、1998~2005年(鈴木 均) 

 1 シュレーダーの経歴

 2 第一期赤・緑連立政権(1998年10月~2002年9月)

 3 第二期赤・緑連立政権(2002年9月~2025年10月)

 4 首相退任後のシュレーダー



コラム8 「記憶・責任および未来」基金(葛谷 彩)



第9章 危機対応と改革の継続――メルケル政権、2005~2021年(近藤正基)

 1 人物と経歴――生い立ちから首相就任まで

 2 外交・安全保障政策――リーダーシップの模索

 3 福祉政策――社会的投資の強化

 4 移民・難民政策――社会統合と就労促進

 5 環境・エネルギー政策――脱原発と気候変動対策

 6 主要政策の変化――付加価値税、連邦制、連邦軍、同性婚

 7 新型コロナ感染症対策――EU・連邦・州の相互作用

 8 政治変容――国民政党の衰退と政党システムの分極化



コラム9 ドイツの自動車産業(鈴木 均)

コラム10 2021年連邦議会選挙とショルツ政権の誕生(板橋拓己)



あとがき



巻末付録

  戦後ドイツ連邦共和国の連立与党

  連邦議会選挙の結果

  ドイツ連邦共和国の歴代大統領

  ドイツ民主共和国の歴代国家元首



現代ドイツ政治外交史年表

人名・事項索引