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2023/09/04 週刊ポスト 2023年9月15日号

関東大震災と民衆犯罪 ――立件された一一四件の記録から (筑摩選書 262)

ISBN: 4480017801

発売日: 2023/8/10

出版社: 筑摩書房

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1923年の関東大地震。その直後から自警団による、朝鮮人、中国人らに対する襲撃事件が多発し、日本人を含む多くの犠牲者をだしたが、その実態はいまだ明らかではない。誰が誰をなぜ殺したのか? 検察が立件、起訴した600人以上の被告、約90人の日本人被害者のプロフィールを分析するなどして、民衆犯罪の全貌に迫る。事件から100年、地域に根差した庶民が起こした史上最大最悪の惨事=ヘイトクライムをとらえなおす。



【目次】

はじめに

第1部 関東大震災下の国家と民衆

1 軍・官・民一体のエスノサイド

〔1〕自警団の結成と警察の役割

〔2〕治安エリートの「暴動」妄想と戒厳令下の虐殺

〔3〕県庁と県警の失態

〔4〕掌を返した治安当局

2 自警団、その組織と活動実践

〔1〕自警団の広がりと組織構成

〔2〕自警団の活動内容

3 エスノサイドの背景

〔1〕全国で結成された「民衆警察」

〔2〕外国人労働者「問題」の発生

第2部 刑事事件化した民衆犯罪の動向

1 朝鮮人襲撃事件にみる自警団の情動

〔1〕朝鮮人襲撃事件の発生状況

〔2〕朝鮮人被害者のプロフィール

〔3〕朝鮮人襲撃事件の態様

〔4〕「報復」行為としてのエスノサイド

2 日本人襲撃事件の実態と被害者像

〔1〕日本人襲撃事件の発生状況

〔2〕日本人襲撃事件の経緯と態様

〔3〕日本人被害者に関する伝承と史実

〔4〕日本人被害者のプロフィール

3 自警団員裁判の実態と加害者像の再検証

〔1〕先行研究の加害者像に対する疑問

〔2〕自警団員裁判という「猿芝居」

〔3〕加害者のプロフィール

第3部 沖縄出身者と自警団

1 沖縄出身者襲撃伝承とその特徴

2 関東大震災、ふたつの体験記

〔1〕襲撃伝承の原点──比嘉春潮「年月とともに」

〔2〕勤勉な自警団員──宮良當壮「遭震惨記」

〔3〕比嘉の沈黙、宮良の無責任

3 沖縄出身製紙労働者の震災経験

〔1〕雪崩を打って上京する

〔2〕「木下組」朝鮮人組夫の虐殺

〔3〕伊江村出身者と自警団事件

〔4〕襲撃伝承が生まれるまで

4 沖縄における伝承の形成と定着

〔1〕紡績女工の悲劇

〔2〕「方言」撲滅教育と「沖縄語」話者の処刑

巻末資料

結びに代えて

索引