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2023/09/04 週プレ 2023年9月18日号

「死にたい」と言われたら ――自殺の心理学 (ちくまプリマー新書 428)

ISBN: 4480684530

発売日: 2023/6/8

出版社: 筑摩書房

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「同世代最高峰の臨床心理学者。かぎりなく冷たい自殺論なのに、根底のところで温かい。」東畑開人(臨床心理士)

「自殺はダメなの?」から「どうすれば防げる?」まで死にたい気持ちを理解する

「死にたい」と思ったことがある人は人口の2~3割だという。そして全死因のうち2パーセント弱を自殺が占めている。死にたくなったらどうするのか、自傷行為と自殺は違うのか、自殺予防の未来など、心理学の最新の知見をもとに考える。



【目次】

第1章 自殺はなぜ起こるのか

原因は分からない?/どうすれば自殺が起こる原因が分かるのか/自殺が起こる「統計的な」原因/保健医療システムの要因/社会的要因①―自殺の手段へのアクセス/社会的要因②―不適切なメディア報道/社会的要因③―援助希求行動と関連するスティグマ/地域・人間関係要因/個人的要因/子ども・若者が自殺を考える理由/自殺の対人関係理論/自殺潜在能力―死に切る力/所属感の減弱と負担感の知覚/理論を使って世界を眺め、理解する/それでも自殺は分からない



第2章 「死にたい」と言われたら

可視化された「死にたい」/「死にたい」と言う人は、放っておいて大丈夫?/「死にたい」と言われたら/緊急事態の場合は、119番と110番/「死にたい」に自分で対応することを考えてみる/危機介入のための戦略/対話の際に、やってはいけないこと/どうやって話を聞けば良いのか/「死にたい」には波がある/負担感の知覚に働きかけることはできるのか/「だったら死ねばいいじゃん!」と言ってしまうのはなぜか/コップに入った水のたとえ話/不確実性に耐えながら関わり続ける



第3章 「死にたい」と思ったら

改めて、注意事項/我々はなぜ「助けて」と言えないのだろう/メディアを介した匿名性の高い相談/メディアを介した相談の問題点/相談窓口を使う準備をしておこう/自分の身体をマストに縛る計画を立てよう/助けてもらうための下準備をしておこう/SNSでのつながりをどう考えるべきか/ストレスへの対処方法のストックを探そう/自傷行為は多くの場合、ストレス対処方法/飲酒、薬物使用をどう考えるべきか/死なないだけでそれでいいのか?/幸せになるための生活習慣の作り方/ネガティブな感情にはどういう意味があるのだろう?



第4章 自殺は悪いことか

自殺は予防すべき?/自殺対策基本法/自殺への態度は地域や時代によって大きく異なる/「常識」の違いに思いをはせてみよう/死ぬことはそもそも悪いことなのか?/生物はなぜ死ぬのか/自殺のような行動のメリット/自殺は異常で病的なことなのか?/自殺は他の死に方と比べて、悪いか?/予防すべきではない「自殺」をするためのハードル/合理的な判断をすることは可能か?/「適当」な意思決定をしてしまう理由/みんなで時間をかけて、ゆっくり考える環境を!/未来展望



第5章 幸福で死にたくなりづらい世界の作り方

効果的な自殺対策とは?/自殺方法へのアクセスの物理的な制限/ゲートキーパー教育/相談資源の充実とアクセスの改善/適切なメディア環境の構築/政策の効果はどうすれば分かるか/政策の評価はほとんど行われていない/自殺対策を担っているのは誰か/効果の検証をするために何が必要か/誰がダメなのか?/効果の検証や政策の改善は協働しないとできない



おわりに―あなたに何ができるのか