配信日 雑誌名
2023/08/10 週刊新潮 2023年8月17日号
2023/08/31 女性セブン 2023年9月14日号
2023/09/11 サライ 2023年10月号
2023/09/30 週刊文春 2023年10月5日号

百年の子

ISBN: 4093866864

発売日: 2023/08/04

出版社: 小学館

Amazonランク: 0

昭和~令和へ壮大なスケールで描く人間賛歌



人類の歴史は百万年。だが、子どもと女性の人権の歴史は、まだ百年に満たない。



舞台は、令和と昭和の、とある出版社。コロナ蔓延の社会で、世の中も閉塞感と暗いムードの中、意に沿わない異動でやる気をなくしている明日花(28歳)。そんな折、自分の会社文林館が出版する児童向けの学年誌100年の歴史を調べるうちに、今は認知症になっている祖母が、戦中、学年誌の編集に関わっていたことを知る。

世界に例を見ない学年別学年誌百年の歴史は、子ども文化史を映す鏡でもあった。

なぜ祖母は、これまでこのことを自分に話してくれなかったのか。その秘密を紐解くうちに、明日花は、子どもの人権、文化、心と真剣に対峙し格闘する、先人たちの姿を発見してゆくことになる。

子どもの人権を真剣に考える大人たちの軌跡を縦糸に、母親と子どもの絆を横糸に、物語は様々な思いを織り込んで、この先の未来への切なる願いを映し出す。

戦争、抗争、虐待……。繰り返される悪しき循環に風穴をあけるため、今、私たちになにができるのか。



いまの時代にこそ読むべき、壮大な人間賛歌です。



【編集担当からのおすすめ情報】

忘れられないのは、第一稿の小説を読んだときの胸の熱さ。

原稿を読みながら、この流れてくる涙はなんだろう、と考えた。言葉にすると「すごい!」しか出てこない。あまりにも大きくて熱くて深い。

一番身近で古内一絵さんの取材、執筆を見ていて、時にはとても心配になりハラハラもした。そのくらい、古内さんのこの作品への熱量はすごかった。ご本人があまりに考えすぎて鼻血を出したり、胃炎になったり、全身全霊で取り組んでいることが痛いほど伝わってきた。

「ありがとう」と思った。この作品を読むことが出来て、幸せだと思った。涙はきっと、女性であり、かつての子どもであり、母であり、娘であり、労働者であり、担当編集者である自分の心からの涙だと思った。

どうか一人でも多くの方の心にこの小説が届きますように。心から祈っています。どうか、よろしくお願い申し上げます。