配信日 雑誌名
2023/09/15 週刊ポスト 2023年9月29日号
2023/11/16 週刊新潮 2023年11月23日号

スポーツの価値 (集英社新書)

ISBN: 4087212769

発売日: 2023/8/17

出版社: 集英社

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エッセイスト・酒井順子氏 推薦!

「ここまで書いてしまっていいの?」と思わせるほどの筆致が清々しい。



部活動での体罰や、勝利至上主義、アスリートのメンタルヘルスなど、近年スポーツに関する様々な問題が浮上している。



この構造を温存させてきたのが、理不尽なことにも従順に従う風土である。

それによって「体育会系」学生は、無理な仕事も拒まないと見なされ、就職活動でも有利に働き、組織の中で重用されてきた側面がある。



しかし、スポーツの価値はそこにあるのではない。

スポーツによって磨かれるのは、論理的かつ戦略的な思考、コミュニケーション能力、そして何より忖度なくフェアにプレー(行動)する精神である。

これらは社会の分断を乗り越え、コミュニティを支える基盤ともなる。



つまりスポーツには、社会を変革する力がある──。



本書では日本のスポーツ界に潜む病根を忖度なく指摘し、スポーツの真の価値を提言する。



【「はじめに」より】



スポーツを通して自分とは異なる他者と出会い、力を合わせて競技する中で、多様性の重要性を理解したり、コミュニケーション能力が高まります。

スポーツを介したつながりは、コミュニティを支える基盤にもなり得ます。また、スポーツによって鍛えられる分析力や行動力、戦略性は、学業やビジネスにも役立ちます。

本書ではこのような「スポーツの多様な価値」を考えたいと思います。



【目次】



はじめに…スポーツは感動の「打ち上げ花火」?/スポーツ観が変われば社会が変わる

序章―東京五輪の「レガシー」とは何だったのか?…東京五輪検証の意義/勝利至上主義が選手を追い詰める/アスリートのメンタルヘルスを守るために/希望の萌芽

第1章―子どもが輝くスポーツのあり方…若年層の全国大会は必要ない/フランスの親はなぜ子どもに柔道をさせるのか/自己評価ができれば弱くても続けられる

第2章―スポーツから考えるジェンダー平等…指導者の資質に男女差はない/「数」から「質」へ

第3章―沈黙するアスリートたち…声を上げる海外の選手たち/毅然とした態度が取れない日本のスポーツ界

終章―スポーツの価値とは何か…スポーツは社会を映す鏡/「体育会系」がもてはやされる時代の終焉/スポーツが文化となるために

おわりに



【プロフィール】

山口香(やまぐち かおり)

筑波大学教授。柔道家。第1回全日本女子体重別選手権大会で最年少優勝。以後10連覇を達成。世界選手権では4個の銀メダルと、日本女子初の金メダルを獲得。1988年ソウル五輪では銅メダルに輝き、翌年引退。シドニー五輪、アテネ五輪で日本柔道チームのコーチを務めた後、日本オリンピック委員会(JOC)理事などを歴任。