配信日 雑誌名
2024/05/13 週刊ダイヤモンド 2024年5月18日号
2024/06/24 週刊東洋経済 2024年6月29日号
2024/06/27 週刊新潮 2024年7月4日号

ジャーナリストの条件:時代を超える10の原則

ISBN: 4105074113

発売日: 2024/04/25

出版社: 新潮社

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レビュー

ニュースがひしめき合う時代に、いかに裏付けを取り、どう伝えるか。

SNS上にデマや誤情報が氾濫し、権力者が都合の悪い情報をフェイクニュースと批判する時代に、ジャーナリストの仕事は重要性を増している。いかに真実に迫るか。偽情報をどう扱うか。客観性と中立は何が違うのか。そもそもニュースの目的とは。メディアの精鋭たちが自明とされてきた価値を問い直して磨き上げた世界的ロングセラー。



(目次)

ジャーナリストはどこにいるのか[訳者]

第四版へのまえがき

序  章

第1章 ジャーナリズムは何のため



知る本能/ジャーナリズムの誕生/ネットワーク時代と報道の自由/組織的な協働情報分析としてのジャーナリズム/ジャーナリストの民主主義理論/結び合う人々の理論/新しい課題

第2章 真実―最も大切で最も分かりにくい原則

事実らしさか真実か/ジャーナリズムにおける真実/真実を知る必須の手順――事実の確認/真実を超える新規範がジャーナリズムに生まれるのか

第3章 ジャーナリストは誰がために働く

独立が孤立に/分断からの反転/市民は顧客か/壁/独立への五つの鍵

第4章 事実を確認するジャーナリズム

失われた客観性の意味/客観性か、道徳の明確さか/客観的方法、その現場と実務/断言ジャーナリズムvs事実確認ジャーナリズム/ニュースは「私に示してくれ」の時代――「私を信じなさい」の時代ではない/客観的方法を使うジャーナリズムの実際/誤情報に対処する――その技術/偏り/事実確認のテクニック

第5章 党派からの独立

心の独立/独立性の進化/再評価される独立性/透明性と独立性と欺瞞/独立性と、階級や経済状況/多様性とジャーナリズムの独立性/独立性という意味/先入観を検出するテクニック

第6章 力ある者を監視し、力なき者の声となれ

独自調査報道/解釈型調査報道/調査・捜査を伝える報道/弱められた監視犬の役割/告発としての調査報道

第7章 開かれた議論の場となるジャーナリズム

SNSの元祖/みんなの議論の場を地元から再生し、立て直す/

第8章 引き込む力、自分とのつながり

インフォテインメントとセンセーショナリズムの誘惑/語り方のイノベーション・モデル/いつ、どこで、誰が、何を、どのように――その新しい定義/読者が何を理解するか、に責任を持とう。読者が何を目にするかだけでなく/一つのストーリー、いくつもの伝え方

第9章 全体像を配分良く

ターゲット階層という欺瞞/地図作家の喩えでは言い尽くせないこと/話を大きく見せる圧力/計測手段を分析する/ジャーナリズムのための新しい市場調査/ニュースの新しい消費者

第10章 ジャーナリストは自分の良心に責任を負う

良心を貫くことはたやすくない/正直という文化/個人の良心を阻む圧力/良心と多様性が輝く文化を作る

第11章 市民の側の権利と責任

市民の権利と責任の章典

著者について

ビル・コバッチ

Bill Kovach

『ニューヨーク・タイムズ』ワシントン支局長、『アトランタ・ジャーナル・コンスティトゥーション』編集者、ハーバード大学ニーマン・フェローシップ運営代表を歴任。憂慮するジャーナリスト委員会の創設者・議長、「ジャーナリズムの真髄プロジェクト」上級顧問も務めた。米コルビー大学「勇気あるジャーナリズムのためのイライジャ・パリッシュ・ラブジョイ賞」、ミシガン大学ウォレスハウス・ジャーナリストセンター「メンターのためのリチャード・M・クラーマン賞」を受賞。『ニューヨーク・タイムズ・マガジン』『ワシントン・ポスト』『ニュー・リパブリック』をはじめ米内外の新聞雑誌多数に寄稿する。

トム・ローゼンスティール

Tom Rosenstiel

アメリカ・プレス研究所専務理事、「ジャーナリズムの真髄プロジェクト」の創設者・理事、憂慮するジャーナリスト委員会副議長を務めた。『ロサンゼルス・タイムズ』メディア批評担当、『ニューズウィーク』議会担当キャップを歴任。『ジャーナリズムの新しい倫理 21 世紀に向けた原則』をケリー・マクブライドと共編、『明確に考える ジャーナリズムの判断事例』をエイミー・ミッチェルと共編したほか、著書に『おかしな相棒たち テレビと大統領候補が米政治をどう変えたか』『このニュース番組に一言 テレビニュースの質も視聴率も上げる方法』などがある。『エスクァイア』『ニュー・リパブリック』『ニューヨーク・タイムズ』『コロンビア・ジャーナリズム・レビュー』などに寄稿。MSNBC「ザ・ニュース・ウィズ・ブライアン・ウィリアムズ」のメディア批評も担当したほか、テレビ、ラジオ、新聞、雑誌でコメント多数。



二人の共著として『ワープの速度 混合メディア時代の米国』、『インテリジェンス・ジャーナリズム 確かなニュースを見極めるための考え方と実践』(奥村信幸訳、ミネルヴァ書房)がある。

※『インテリジェンス・ジャーナリズム』以外の書名は仮訳

澤 康臣

Yasuomi Sawa

ジャーナリスト、早稲田大学教授(ジャーナリズム論)。1966 年岡山県生まれ。東京大学文学部卒業後、共同通信記者として社会部、ニューヨーク支局、特別報道室などで取材し「パナマ文書」報道のほか「外国籍の子ども1万人超の就学不明」「戦後憲法裁判の記録、大半を裁判所が廃棄」などを独自調査で報道。「国連記者会」(ニューヨーク)理事、英オックスフォード大学ロイター・ジャーナリズム研究所客員研究員なども務めた。著書に『事実はどこにあるのか』(幻冬舎新書)、『グローバル・ジャーナリズム』(岩波新書)など。