配信日 雑誌名
2024/11/14 週刊新潮 2024年11月21日号
2025/01/20 週刊東洋経済 2025年1月25日号

母親になって後悔してる、といえたなら:語りはじめた日本の女性たち

新商品

ISBN: 4103558415

発売日: 2024/10/24

出版社: 新潮社

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レビュー

ずっと忘れていた

私は私なんだ

ということを

胸の奥底にあった「母であることの苦悩」が溢れ出す――

NHK「クローズアップ現代」からの書籍化。

後悔を語る女性たちは、なぜ結婚し、どのようにして母親になったのか。子どもを産んだ後に何が起き、それは思い描いた親子や夫婦、家族の形とどう違ったのか。仕事と育児の両立に何がハードルとなり、問題を解決するために家族とどう向き合ったのか。 NHKの記者とディレクターが、8人の母親たちの胸の奥底にある感情に丁寧に寄り添い、日本で母親になるとはどういうことなのかを問いかける一冊。



(目次)

はじめに

1章 母親の「責任」

寝ない、食べない息子/分娩台で泣きながら第二子を出産/

子どもをコントロールするのが母親の役割?/息子の思いもよらない言葉/

母親をやめる/夢はないし輝かなくていい

2章 「理想のお母さん」とのギャップ

産んで楽になりたい/髪を切る時間もない/乳幼児健診でダメージ/

ワンオペで信頼関係は崩壊/父親像とのダブルスタンダード/

こころの健康相談に連日電話/母親業は充足感につながらない/自分らしさをかき集めた

3章 消えてゆく自分

良妻賢母を育成する高校/「早く子どもを作りなよ」/産んだ瞬間に感じた後悔/

「母親」になった自分と、変わらない夫/自分が透明になっていく/

育児にかまけて遊んでる?/取り戻した自分の名前/「頑張りすぎなくて大丈夫」

4章 働く母親

氷河期の就職「女子は中途半端」/両方を手にするのが「自己実現」/

営業復帰も「できていたことができない」/41歳で「中年の危機」?/

夫婦間の認識の差/分担のせめぎ合いのなかで/後悔はこの社会で母になったこと

5章 ぬぐえない罪悪感

自立した女性への憧れ/天職だったホステスの仕事/妊娠で全てを失って/

出産を喜べない罪悪感/「母親」であることを楽しめない罪悪感/

罪悪感と共に生きていく

6章 子どもを絶対に愛せるか

就職で夢を叶えるも職場復帰は選べず/母乳育児に熱心な病院/

行政に助けを求めるも/「産後うつ」だったのかもしれない/

特別養子縁組もよぎった「心はロボット」/夫にも変化が

7章 社会の構造を変えるには

「中国に行きたい」変わり者の少女が抱いた夢/避妊を拒まれて/

逃げられない母親と逃げられる父親/弱音を口に出してはいけない/

「社会を足元から変えたい」/「母親」でなく「保護者たち」で育児をする社会に

8章 母親になったのは自己責任?

母親になった葛藤描くセルフ・ドキュメンタリー/私の不幸は自分のせい/

「女性」という型にはめられて/保育園に落ちて復学できない/

夫が悪いのか、社会が悪いのか/子育てで生じた問題は自己責任なのか

9章 子どもはどう思う?

母から「人生返して」と直接言われた子ども/小学生での忘れられない言葉/

自己否定と回復までの長い年月/「後悔」が子どもを傷つけないケース/

子どもたちはどう思ったのか/子どもたちが想像する未来は/母親の後悔と子ども

終章 母親の「後悔」の意味

母親たちの実像/後悔する理由/誰と比較しているか/社会か個人か/

選択肢はあったか/後悔の効果/怒りを伴う激しい非難/父親の視点/後悔の先へ

おわりに

注記

著者について

髙橋 歩唯

Takahashi Ai

1989年新潟県生まれ。2014年NHK入局。松山放送局を経て、報道局社会部記者。本書のきっかけとなったWEB特集「“言葉にしてはいけない思い?” 語り始めた母親たち」、クローズアップ現代「“母親の後悔” その向こうに何が」を執筆・制作。家族のかたちをテーマに取材。

依田 真由美

Yoda Mayumi

1988年千葉県生まれ。2015年NHK入局。札幌放送局を経て、報道局社会番組部ディレクター。クローズアップ現代「“母親の後悔” その向こうに何が」のほか、同「ドキュメント“ジェンダーギャップ解消”のまち 理想と現実」、BSスペシャル「再出発の町 少年と町の人たちの8か月」などを制作。若者やジェンダーの問題を中心に取材。