| 配信日 | 雑誌名 | 号 |
|---|---|---|
| 2026/04/27 | 週刊現代 | 2026年5月11日号 |
| 2026/04/29 | 女性自身 | 2026年5月12日号 |
異常に非ず
ISBN: 4103277270
発売日: 2026/04/22
出版社: 新潮社
Amazonランク: 0
昭和54年、帽子にドロップ形のサングラス、ネクタイをゆるめたワイシャツに上着を引っかけた男が大阪の銀行に侵入し、猟銃で4人を殺害して立て籠もった。自分の身を守るため、行員たちをバリケードにし、死体と鮮血が放置される行内で飲み食いをつづけ、事件発生から42時間後、男は射殺された――昭和の事件のなかでも最も凄惨で、犯行の動機や目的がほとんど明らかにされず、謎に満ちた「三菱銀行人質事件」。桜木紫乃さんの『異常に非ず』は、この事件を取材した記者の思い出話から生まれました。「立て籠もりの翌日、息子を説得せい言うて大阪府警が香川へヘリを飛ばしたんやが、奴のおかんは郵便局へ行く言うたまま2時間戻らへん。なんや思うたら美容室で髪をセットしとったんや」
母親の気持ちについて、記者と真夜中、話し合った桜木さんはふと閃きます。「それフィクションで書いたら、わかるかもしれません。わたしの仕事ですわ」
爾来、何年も桜木さんは記者から「はよ書いてくれんか」「いつになったら書くんや」と催促されつづけますが、なかなか書き出せませんでした。実在の犯人が銀行内で自身について語った言葉が記録されています。「オレは精神異常やない。道徳と善悪をわきまえんだけや」
『異常に非ず』に登場する毎報新聞の記者・近藤はこの言葉と母親の不可解な行動に引っかかり、事件は「解決」してもまだ「解明」されていないと考え、連載企画で犯人の30年の生涯を掘り起こし、母親ら関係者への取材を始めます。桜木さんの「フィクション」もまたここからスタートし、昭和の、そして永遠の「未解明事件」の真実に迫っていきます。
