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2024/10/03 週刊新潮 2024年10月10日号

投資依存症――こうしてあなたはババを引く

ISBN: 486680940X

発売日: 2024/9/9

出版社: フォレスト出版

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レビュー

政府の「貯蓄から投資へ」の旗振りのもと、多くの国民が投資に夢中になっている。それは〝投資依存症〟という依存症の一種だ。アルコール依存症にしろ、麻薬依存症にしろ、覚醒剤依存症にしろ、一度罹患してしまうとその治療は極めて困難だ。

誰かが止めないと、日本中に投資依存症が広がり、バブル崩壊にともなって日本中に破産者があふれてしまう。

投資依存症の感染力はとても強く、いまの日本は投資依存症の「パンデミック」前夜まで来ている。(本文より)

「投資とギャンブルは違うものだ」と考えている人は多いだろう。

しかし、投資の本質はギャンブル以外の何ものでもない。

老後の生活資金を、NISAを使って投資信託で運用しようとしている人は、老後の生活資金を賭けて競馬や競輪をやっているのと同じだ。投資の世界も競馬や競輪と同じで、結局はゼロサムゲームとなる。お金が自動的に増えていくことはありえないからだ。

そのことを本書で解説しよう。

●もくじ●

まえがき

「非投資の教科書」を書かねばならない

水原通訳はなぜ〝転落〟したのか

投資の本質はギャンブルと同じ



第1章 お金が自動的に増えることはない

「投資はギャンブルとは違う」のか? 

お金とは何か? 

強者は弱者から「収奪」する

「勝った人」の分だけ、「負けた人」が生まれる

資本家がカネを増やし続けるカラクリ

資本主義の宿命・バブル



第2章 バブルはこうして生まれる

バブル発生のメカニズム

球根から金融商品へ

史上最大の金融バブル

運命の1929年――史上最大のバブル、崩壊

株価の理論値はゼロ



第3章 強欲な金融業者――バブルの真犯人① 

ギャンブルが続けば続くほど儲かる人

投資がうまくいくかどうかは運

レバレッジという〝破産加速装置〟 

投資銀行の正体

〝塀の上を走る〟仕事

ライブドア事件の黒幕

100%負ける賭博

SNS型投資詐欺はこうしてダマす

イスラム世界で金利が禁じられているワケ



第4章 扇動する政府とメディア――バブルの真犯人② 

バブル発生時に起こる現象

「生成AI」はバブルか? 

1989年バブル崩壊前夜、エコノミストはなんと言っていたか? 

指標は、バブルの‶満期〟を示す

「長期・分散投資」を検証してみると… 

なぜ、100周年企業が続出しているのか? 

資本主義が行き詰まる4つの理由――マルクスの予言

そしてメタ社は投資詐欺を野放しにした

「投資」を扇動する日本政府

大阪・関西万博の、隠された目的



  第5章 そして、あなたは熱狂する――バブルの真犯人③ 

ナイーブな人は身ぐるみ剝がされる世界

あなたを虜にする「快楽」欲求

安楽型メイドと快楽型メイド――恋愛における「快楽」 

人はなぜ笑うのか?――笑いにおける「快楽」 

すべての芸術活動に共通する原則――そのほかの「快楽」 

「快楽」は「安楽」から離れられない――快楽の特徴・その① 

快楽は「依存」を連れてくる――快楽の特徴・その② 



第6章 投資とどう向き合うか

それなら、どうすればいいのか? 

私の投資体験

私の人生最大の損失――私の投資体験・失敗篇



あとがき

【発行】三五館シンンャ/【発売】フォレスト出版

著者について

著者について

森永卓郎(もりなが・たくろう)

1957年、東京都生まれ。経済アナリスト、獨協大学経済学部教授。1980年、東京大学経済学部を卒業後、日本専売公社(現・JT)に入社。予算を握る大蔵省(現・財務省)の「奴隷」だった経験をもとに、カルト化する財務省を描いた『ザイム真理教』がベストセラーに。続けざまに、四半世紀のメディア活動で見聞きした〝3つのタブー〟に斬り込んだ『書いてはいけない』が25万部を超えるヒット。「ステージ4」のがん告知からの顛末と死生観を記した『がん闘病日記』に続く本作は、投資熱に浮かされる日本人におくる警告の書である。