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2025/04/03 週刊新潮 2025年4月10日号

死命 (文春文庫 や 61-1)

ISBN: 4167902184

発売日: 2014/11/7

出版社: 文藝春秋

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内容(「BOOK」データベースより)

死へのカウントダウンは彼らの運命を――



余命僅かの宣告を受けた殺人願望を秘めた男と殺人犯逮捕に執念を燃やす刑事。死を恐れぬ者たちが最期に臨む戦慄の光景とは……。



若くしてデイトレードで成功しながら、自身に秘められた女性への殺人衝動に悩む榊信一。ある日、余命僅かと宣告され、欲望に忠実に生きることを決意する。それは連続殺人の始まりだった。元恋人の澄乃との皮肉な再会。犯人逮捕に執念を燃やす刑事・蒼井にも同じ病が襲いかかり、事件の展開は衝撃の結末を―。



死を恐れぬ罪人に報いを与えられるのか! もっとも注目される乱歩賞作家がおくる渾身の傑作ミステリー



性交渉の最中、相手の女を殺したくなる。殺せ、殺せ、と内なる何かが命じている――そんな殺人願望を押し殺してきた榊信一は、若くしてデイトレードで成功し、周囲から羨まれるような高級マンションに住まい、養護施設をボランティアとして訪れる好青年とみられていた。しかし、末期癌で余命がいくばくもない診断を受け〈自分の人生の証として欲望に忠実に生きる〉ことを決意。それは死の報いを恐れぬ罪人による、恐怖の連続殺人のはじまりだった。異常すぎる榊の殺人願望は、榊自身が封印した過去の記憶と関係があるのか。その鍵を握る元恋人・澄乃の登場により、彼の心は激しく動揺するが、殺人衝動を抑えることはできず、第二、第三の被害者が……。

一方、この連続殺人事件を追うことになった、刑事のひとり・蒼井凌は奇遇にも同じような死病に冒されていた。危篤に陥った妻を仕事のため見舞うこともできず失い、娘と息子とのコミニュケーションもうまくとれない男は、なぜ自らの命を削ってまで殺人犯逮捕に執念を燃やすのか。そして死を恐れぬ殺人者に、命あるうちに報いを与えることができるのか。

「世にミステリー多しといえども、これほどの迫力と臨場感をもって『死ぬべき命』の急所を描いた作品は珍しい」(文芸評論家・郷原宏氏)と絶賛を受ける実力派の傑作が待望の文庫化!