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2025/04/07 週刊ポスト 2025年4月18日号

雪の階 (単行本)

ISBN: 4120050467

発売日: 2018/02/07

出版社: 中央公論新社

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昭和十年、秋。笹宮惟重伯爵を父に持ち、女子学習院高等科に通う惟佐子は、親友・宇田川寿子の心中事件に疑問を抱く。冨士の樹海で陸軍士官・久慈とともに遺体となって発見されたのだが、「できるだけはやく電話をしますね」という寿子の手による仙台消印の葉書が届いたのだ――。



富士で発見された寿子が、なぜ、仙台から葉書を出せたのか? この心中事件の謎を軸に、ドイツ人ピアニスト、探偵役を務める惟佐子の「おあいてさん」だった女カメラマンと新聞記者、軍人である惟佐子の兄・惟秀ら多彩な人物が登場し、物語のラスト、二・二六事件へと繋がっていく――。

1956年山形県生まれ。86年「地の鳥天の魚群」が『すばる』に掲載されデビュー。93年『ノヴァーリスの引用』で野間文芸新人賞、94年『石の来歴』で芥川賞、2009年『神器』で野間文芸賞、14年『東京自叙伝』で谷崎潤一郎賞を受賞。他の著書に『「吾輩は猫である」殺人事件』『グランド・ミステリー』『坊ちゃん忍者幕末見聞録』『シューマンの指』『ビビビ・ビ・バップ』など多数。12年より芥川賞選考委員。近畿大学教授を務める。