| 配信日 | 雑誌名 | 号 |
|---|---|---|
| 2025/05/15 | 週刊新潮 | 2025年5月22日号 |
ゾラ・セレクション 別巻 ゾラ事典 (ゾラ・セレクション(全11巻・別巻一))
ISBN: 4865784543
発売日: 2025/3/27
出版社: 藤原書店
Amazonランク: 0
レビュー
本書は、ゾラの作家活動の全体を俯瞰することを目的にした文学事典である。
Ⅰ「作品紹介」では、ゾラの大部分の著作の内容を紹介し、その意義と価値を記述する。
Ⅱ「作家活動とそのテーマ」は、第一に人間ゾラの諸側面、第二にゾラの創作方法、主要なテーマ、作中人物の類型を叙述した。
Ⅲ「ゾラの全体性――芸術・社会・歴史・科学」は、ゾラと同時代のかかわりを問いかける。
Ⅳ「人物/地名事典」は、家族、友人、文学的な同志、あるいは論敵、先輩作家、同時代の作家、交流をもった出版人、ドレフュス事件関連の人物、さらにはゾラを敬愛し、海外諸国でゾラ作品の普及に尽力した外国の作家・ジャーナリストを取り上げる。
Ⅴ「ゾラと日本」では、明治以来、日本の作家と批評家がゾラと自然主義文学をどのように理解し、受容してきたかをたどる。
(「序」より)
【エミール・ゾラ Émile Zola(1840-1902)】
1840年、パリに生まれる。フランスの作家・批評家。22歳ごろから小説や評論を書き始め、美術批評の筆も執り、マネを擁護した。1862年、アシェット書店広報部に就職するが、1866年に退職。1864年に短編集『ニノンへのコント』を出版、1865年に処女長編『クロードの告白』を出版。1870年、アレクサンドリーヌ・ムレと結婚する。1871年、ライフワークたる『ルーゴン・マッカール叢書』第1巻『ルーゴン家の繁栄』を出す。その後『居酒屋』、『ジェルミナール』を経て1893年、『パスカル博士』をもって『ルーゴン・マッカール叢書』は完結。また自然主義文学の総帥として論陣を張り、『実験小説論』(1880年)を書いた。1888年、女中ジャンヌ・ロズロとの関係が生じ、その後2児をもうける。1891年には文芸家協会会長に選出される。1897年暮れからドレフュス事件においてドレフュスを擁護、1898年1月、「私は告発する!」という公開状を発表。そのため起訴され、同年7月イギリスに亡命。翌年6月に帰国、空想社会主義的な『豊穣』『労働』などを書いたが、1902年9月29日、ガス中毒により急死。葬儀では作家アナトール・フランスが、「人類の良心を体現した」とゾラを讃えた。遺骸は1908年にパンテオン廟に移された。
著者について
【編者紹介】
●小倉孝誠(おぐら・こうせい)
1956年生。慶應義塾大学教授。専門は近代フランスの文学と文化史。1987年、パリ第4大学文学博士。1988年、東京大学大学院博士課程中退。
著書に『身体の文化史』『愛の情景』(中央公論新社)、『犯罪者の自伝を読む』(平凡社)、『革命と反動の図像学』『ゾラと近代フランス』(白水社)、『歴史をどう語るか』(法政大学出版局)他。訳書に、コルバン『音の風景』『風景と人間』『空と海』『草のみずみずしさ』(共訳、以上藤原書店)、フローベール『紋切型辞典』(岩波文庫)他。監訳書に、コルバン他監修『身体の歴史』(全3巻、日本翻訳出版文化賞受賞)『男らしさの歴史』(全3巻)『感情の歴史』(全3巻、以上藤原書店)他。
(本データは刊行時のものです。)
