| 配信日 | 雑誌名 | 号 |
|---|---|---|
| 2025/06/19 | 週刊新潮 | 2025年6月26日号 |
ゆっくりさよならをとなえる
ISBN: 4104412023
発売日: 2001/11/24
出版社: 新潮社
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商品説明
公園の芝生で寝ころんで缶ビールを飲んでいると、知らない初老の男性に声をかけられ、あげくの果てに、その男性に「あなたはわたしの妻に似ている」と言われたセイシュンの日の思い出話や、ベタベタのスパゲティナポリタン(略称スパナポ)が突然食べたくなり、町中の喫茶店を探し回るもけっきょく見つけられず、むくんだ足を引きずりながら家に帰った話など、これまでにさまざまな新聞や雑誌に連載されたエッセイ59篇を収録。どのエッセイも、彼女の日常に横たわる時間をやさしく紡ぎ取り、独特のタッチでしたためたものばかりだ。
エッセイの中には、ヘミングウェイやマルグリット・デュラスをはじめとする作家たちとの出会いのほか、川上文学の礎を築いてきた数々の書物についてのエピソードも数多く盛り込まれており、作家川上弘美の人となりや魅力を十分に感じることのできる内容となっている。
彼女は1996年に
『蛇を踏む』
で第115回芥川賞を受賞した後、
『溺レる』
で伊藤整賞と女流文学賞、
『センセイの鞄』
で谷崎潤一郎賞を受賞するなど数々の賞を獲得。日本文学のなかでも、筆力は折り紙付きの女流作家である。
彼女が連載エッセイを書いていて、最後の回になると必ず思うことがあるという。「さみしいから文章を書いているのに、書くことによってますますさみしくなる。難儀です。でも生きているから、生きのびてこられたから、さみしさも感じられるわけです。難儀もまたよろし、ですね」。(石井和人)
内容(「MARC」データベースより)
今までで一番多く足を踏み入れた店は本屋、次がスーパー、三番めは居酒屋だと思う…。川上弘美的日常を綴る最新エッセイ集。道草したみたいに愉快になれます。
