| 配信日 | 雑誌名 | 号 |
|---|---|---|
| 2025/06/23 | 週刊現代 | 2025年7月7日号 |
我ら海中自衛隊
ISBN: 4890634584
発売日: 2025/5/16
出版社: 並木書房
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レビュー
「潜水艦は単艦で行動するのが基本です。だから艦長が自分で考えて行動できるんです」(たかしお艦長・柿本2佐)
「乗員は約70人ですが、その後ろには家族や親兄弟がいます。そしてその先には国民がいます。それらすべてを背負っている覚悟がなければ艦長は務まりません」(とうりゅう艦長・伊藤2佐)
「潜水艦はあくまでも戦闘のみ。戦いのための艦で、最前線で戦う。しかもいちばん強い」(たいげい艦長・前田2佐)
「潜水艦がどこで何をしているか誰も教えてくれないし、それで自分の目で確かめたくて潜水艦に来たんです!」(東2尉)
「潜水艦は一切の無駄が省かれている。戦闘のために特化して設計されている。そこがまた美しい(小林2尉)
「最前線にいると思うことが時々あります。ここがいちばん前だと。潜れば周囲はすべて最前線ですから!」(重黒木2曹)
「乗員がそのハッチを閉める時、艦長の方を振り向くんです。乗員は最後に艦長の指示が欲しいんです。危機が迫った時、みな艦長の指示を仰ぐんです。そこで艦長は判断を下します」(戸井幕僚長)
抜粋
海中自衛隊・潜水艦部隊の取材で、5隻の潜水艦に乗ることができた。
各潜水艦で共通して感じたのは、「海中の楽園」だということだ。そこには理想的な人間関係があり、家長とも言うべき艦長を中心に約70人の大家族がいる。
「潜水艦にいる人間はみんないい人です」と取材したサブマリナーは、みな口を揃えて言う。筆者もそう思う。こんな素晴らしい職場が海の中にあるのだ。
筆者は週刊誌記者として40年以上のキャリアがあるが、扱う事件ネタの多くは、他者を傷つけ、批判し、馬鹿にする輩が大勢登場する。そんな社会の裏側ばかり見ていると疲弊するばかりだ。そんな時、海中自衛隊の取材が決まると一気に心が晴れる。素晴らしい潜水艦乗りと話ができ、心身が癒されるのが実感できる取材だった。
その楽しみもついに終わってしまい、今は心にぽっかり穴があいた気分である。うれしいことに次の自衛隊企画が決まったので、通常の取材にも堪えられそうだ。
横須賀基地での最後の取材を終えて桟橋を振り返ると、そこには「たいげい」がどーーーんと浮かんでいた。黒い鋼鉄の巨人が「また、来いよ」と語りかけてくれたような気がした。
これだけ取材をしても、潜水艦が出港し海中に潜ってから実際に何をしているのか、その航海日数もどこに行くかも具体的なことは何も知ることはできなかった。
それを知りたければ、サブマリナーになるしかない。本書を読まれた方で、18歳以上33歳未満であれば海中自衛隊の「海中の楽園」を経験することができます。もちろん「潜水艦適性」は必要です!
著者について
小峯隆生(こみね・たかお)
1959年神戸市生まれ。2001年9月から週刊「プレイボーイ」の軍事班記者として活動。
軍事技術、軍事史に精通し、各国特殊部隊の徹底的な研究をしている。著書は『新軍事学入門』(飛鳥新社)、『蘇る翼 F-2B─津波被災からの復活』『永遠の翼F-4ファントム』『鷲の翼F-15戦闘機』『青の翼ブルーインパルス』『赤い翼空自アグレッサー』(並木書房)ほか多数。
日本映画監督協会会員。日本推理作家協会会員。元同志社大学嘱託講師、筑波大学非常勤講師。
柿谷哲也(かきたに・てつや)
1966年横浜市生まれ。1990年から航空機使用事業で航空写真担当。
1997年から各国軍を取材するフリーランスの写真記者・航空写真家。撮影飛行時間約3000時間。
著書は『知られざる空母の秘密』(SBクリエイティブ)ほか多数。
日本写真家協会会員。日本航空写真家協会会員。日本航空ジャーナリスト協会会員。
